第二回日本地下生菌研究会 観察会報告

日程:平成29年7月22日(土)〜24日(月)
宿泊場所:宮崎県綾町 自然休養村センター 綾川荘

日本地下生菌研究会の第2回観察会が,宮崎県綾町周辺および宮崎大学農学部附属自然共生フィールド科学教育研究センター田野フィールド(演習林)において,照葉樹林きのこ研究会との共催で開催されました。

日本地下生菌研究会としての参加者は総勢7名,そのほか照葉樹林きのこ研究会,宮崎県林業試験場,綾町役場,宮崎大学の皆様が参加されました。
 

22日(土)

午後1時に今回の宿泊場所である綾川荘に集合し,各自簡単な自己紹介を行いました。今回の観察会では,『宮崎のきのこ』(鉱脈社)でおなじみ,宮崎県総合博物館の黒木秀一さんに現地案内人を務めていただきました。
黒木秀一氏

早速,綾の照葉大吊橋周辺で探索を行いました。このエリアはヤマビルが生息しているとのことなので,食塩や忌避剤を用いて各人工夫を凝らしたヒル対策を施しました。

さて,ヒル対策も整ったところでさっそく地下生菌の探索を開始しました。林道沿いには,アーバスキュラー菌根菌から栄養を貰っているヒナノシャクジョウやホンゴウソウ,ウエマツソウなどの菌従属栄養植物が散見され,自然度の高い森林であることが窺えました。
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探索を始めてしばらくすると,今回の地下生菌第1号が見つかりました!
大分から参加された波多野さん夫妻の発見です。後の観察でベニタケ目の地下生菌トゲミノショウロ属Gymnomycesの仲間だと同定されました。
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その後,黒木さんが以前にイボセイヨウショウロTuber indicumを見つけられた場所を見学し,付近のキャンプ場に探索の場所を移しました。この場所ではツチダマタケ属Rossbeeveraやロウツブタケ属Hydnobolitesなどが見つかりました。
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夕刻に宿舎に戻り,温泉に入って疲れを癒した後で,スライドによる情報交換会が開催されました。3名の方から以下のような情報提供がありました。
・最近見た珍菌
・トリュフの発生環境,発生時期について
・島の地下生菌の謎に迫る
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23日(日)

この日は黒木さんに宮崎大学農学部附属自然共生フィールド科学教育研究センター田野フィールド(演習林)を案内していただきました。ここではネズミツチダマタケRossbeevera griseovelutinaを始めとしてツチダマタケ属の仲間が数多く見つかりました。
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午後は演習林内のハナガカシ林を探索しました。ここでは林道脇に発生していたコガネショウロタケを始めとして,多様な地下生菌が見られました。
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帰り際,演習林の事務所前にて記念撮影をしました。
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夕刻に宿舎に戻り,顕微鏡も活用して採集品の同定作業を行いました。Stephanospora属の胞子の「王冠」を観察するなど,地下生菌談義で盛り上がりました。
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24日(月)

最終日は,出発前に宿舎の前でもう一度記念撮影をしました。
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この日は,黒木さんの案内で再び綾町の林道へ行き,お昼前まで地下生菌探索を行いました。途中,トビイロホウキタケに似たきのこが見つかり,にわかに撮影会が始まりました。
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この場所でもツチダマタケ属の地下生菌が目立ちました。その他,ツチダンゴ属ElaphomycesやHysterangium属,Stephanospora属(とそれに近縁な背着生のLindtneria属)などが見つかりました。
Hysterangium属の一種 Lindtneria属の一種

最後に折原会長から採集物の解説があり,第2回の観察会は解散となりました。この日の宮崎は街頭の温度表示が36℃となる猛暑でありました。帰り際に皆さん冷たいアイスで涼を取ったようです。
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第2回観察会は天候にも恵まれ,宮崎の自然豊かな照葉樹林の中で多様な地下生菌を採集し,堪能することができました。現地案内人を務めていただいた黒木さんにお礼申し上げたいと思います。

文:升本宙(筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所)